がんは生き方を問う 続・ごあいさつ

今の医療の現場では、がんの告知はあたりまえになってきました。一方、がんという言葉から受けるイメージは、患者さんにとって、極めて悲観的で、「ショックで何も覚えていない、考えられない」という人も多いようです。おそらくご本人もご家族も、大変な混乱と不安にさいなまれていることかと思います。さらには、世間に流れる多くの混沌とした情報。どうしていいのかわからない。何が正しいのかわからない。そんな中で、医療から見放された「がん難民」という言葉さえ生まれてきています。そういった方々へ、少しでも救いになれば、少しでも希望と勇気を呼び起こせたら。そういう思いで、この文を書いています。本当は診察室でじっくりお伝えすべきことなのですが、今の病院の医療のシステムでは残念ながら患者さんの話に、ゆっくり耳をかたむける、じっくり話す時間はとても取れないのが現実です。そこでこのページでゆっくり語ることにします。

ただ、これから発信してゆくことは、ふつうのがんに関する本に書かれていることとはかなり違っています。がんに対する一般的な治療法や医学常識といったものは、多くの教科書に書かれている事や信頼できる施設のホームページなどを参考にしてください。これからお話しする内容には、とまどわれることもあるかと思います。何だか突拍子も無い事を書いているように思われるかもしれません。ここにあるのは、現代医学のがんの解説ではなく、逆に現代医学を批判して特殊な代替医療をすすめるものでもありません。また宗教をすすめる本でもありません。強いて言えば、生き方への提言といったところでしょうか。

世の中には、がんについて知られていること、語られることはいっぱいあります。「こんな考え方もあるのか」と気楽にお付き合いいただければ有難いことです。もしこの文があなたのお役に立つことができれば、たいへん嬉しいことです。そうなれば、私のがんが他のどなたかに癒しをもたらすという大きな意味を持つことになり、こんなすばらしいことはないからです。