そんな時、ふと肌荒れで困っていた頃の事を思い出しました。ある化粧品に出逢ったことで、肌が改善したという経験です。薬の使用を中止し正しいお手入れをすることで、モルタルの外壁のようになってしまった肌がどんどん良くなっていったこと。これまで何の疑いもなく使用していたステロイドやアトピー薬、ワセリンに対して、初めて疑問を持つようになり、調子が悪くなればすぐ薬に頼るという考え方を大きく変えてくれた出来事でした。
「体も自分の力を取り戻せるのではないかしら」
福田稔先生が残してくださったお言葉は、「人は治るようにできている」でした。
「正しいやり方をすれば、体にも同じことが起こるのでは…。もし三大療法に頼らず治癒に至れば、私の周りの人たちに何かを伝えることができるかもしれない。自分の体で試してみよう。」そのような思いに至り、治すことが与えられた使命のように強く感じるようになりました。
改めて本を何度も読み返し、また新しい本にも出逢いました。中でも気功の水野先生から教えて頂いた、中村天風の「運命を拓く」は私の心をとても強くしました。また水野先生の存在と気功施術は、大きな支えとなり新しい世界を広げてくれました。そしてさらなる知識と新たな気づきをいただくことになったのです。
初めて心と身体の仕組みを知ることになり、真っ先に恐怖というものを手放しました。この恐怖や不安というものが、一番治癒の妨げになるからです。恐れという感情が一番恐ろしいと知ると、手放さない訳にはいきません。命がかかっていますので。
「シクシク泣いて悲しんでいる場合ではない!」と気合が入りました。
そして病院には行かず自分で出来ることをひたすら続けてみようという大きな決断をしました。周りには理解してもらえないと思ったので、家族以外に病気の事は話しませんでした。実際家族にも反対されたのですが、自然治癒について説明し、全て自己責任で覚悟を決めているということを理解してもらいました。そして病人扱いをしないでほしいと思いを伝えました。もし途中でがんが進行してしまっていたら、再度考え直し別の方法を選択すれば良いことであり、どうしてもダメだった場合は手術することも範疇にありました。
「よし、出来る限りやってみよう!」
方向性は決まりました。得た知識や理論を軸とし、信念を持つ。治った時の自分を思い描く。それが心の支えになりました。それからは恐怖を手放したおかげで、不眠症気味だったはずが毎晩ぐっすり眠れるようになりました。
それから約5ヶ月。告知以来初めて大学病院に検査に行きました。もし進行していればやり方を改めなければいけないので、経過を知る必要があったからです。
そしてその1週間後、検査結果を聞きに行きました。自分の番が回ってくると、真っ先に医師から手術や手術前検査の日取りを決める話をされました。「やっぱりダメだったか…」と思いながら、「先日の検査結果はどうでしたか?」と尋ねると、PC画面をこちらに向けてくれました。そこには、『癌の残存は認めません』とありました。
「消えた…? うそっ? …ほんと??」
検査結果にとても驚きました。こんなに早く努力の成果を得られるとは思っていなかったからです。
ですが、・・・・
続く