今、病室の片隅に居るあなたへ  船戸崇史

西洋医学は非常に有能なツールです。使わない手はありません。ただし、治す準備が必要です。良眠、良食、加温、運動、笑いの五つの習慣(五ヶ条)は治すための準備です。その上でがん治療に取り組みましょう。

重要な心構えは、がんを消すことに必死にならないことです。「必ず死ぬ」と書きますから。あなたは、がんを治すために生れてきましたか? 大事なことは、がんを治して何がしたいのか? です。私はそれを「志」と呼んでいます。がん治療は人生の目的ではありません。手段です。がんが治って、したいこと(志)があって、今できる力があれば、それを同時にしましょう。「がんが治るから幸せになる」のではなく「幸せだからがんも消えて行く」のだと私は信じています。がんは、あなたに「本来のあなたに甦りなさい」と言っているに過ぎないのですから。

がんが治らないと死に至りますが、がんが治ってもいずれ死にます。死は生きるものの宿命ですから。1000人以上の看取りを経験してきて、死ななかった人は誰一人いませんでした。しかし、私たちは「生きるか、死ぬか」で悩んでいます。死にたくないからです。でも100%死ぬなら、死ぬ事は考えなくてもいいのです。生きる事だけを考えましょう。選択肢があるとすれば、「生きるか、死ぬか」ではなく「どう生きるか」しかありません。

死ぬほど苦しい人は、その苦しみから逃れるために在る死は恩寵です。死は苦しみではなく苦しみからの解放です。私は、乗り越えられない試練はないと信じています。人生思い通りではないですが予定通りです。訪れる試練が大きいほど、それにチャレンジできるくらい、あなたは進化した魂なのです。きっと。どうか、今の「がん」を通して、本来のあなたにリボーンされることを祈念しています。

岐阜県養老郡養老町 船戸クリニック 院長 船戸崇史