がんは生き方を問う 続・ごあいさつ

がんは生き方を問う 続・ごあいさつ

今の医療の現場では、がんの告知はあたりまえになってきました。一方、がんという言葉から受けるイメージは、患者さんにとって、極めて悲観的で、「ショックで何も覚えていない、考えられない」という人も多いようです。おそらくご本人もご家族も、大変な混乱と不安にさいなまれていることかと思います。さらには、世間に流れる多くの混沌とした情報。どうしていいのかわからない。何が正しいのかわからない。そんな中で、医療から見放された「がん難民」という言葉さえ生まれてきています。そういった方々へ、少しでも救いになれば、少しでも希望と勇気を呼び起こせたら。そういう思いで、この文を書いています。本当は診察室でじっくりお伝えすべきことなのですが、今の病院の医療のシステムでは残念ながら患者さんの話に、ゆっくり耳をかたむける、じっくり話す時間はとても取れないのが現実です。そこでこのページでゆっくり語ることにします。

ただ、これから発信してゆくことは、ふつうのがんに関する本に書かれていることとはかなり違っています。がんに対する一般的な治療法や医学常識といったものは、多くの教科書に書かれている事や信頼できる施設のホームページなどを参考にしてください。これからお話しする内容には、とまどわれることもあるかと思います。何だか突拍子も無い事を書いているように思われるかもしれません。ここにあるのは、現代医学のがんの解説ではなく、逆に現代医学を批判して特殊な代替医療をすすめるものでもありません。また宗教をすすめる本でもありません。強いて言えば、生き方への提言といったところでしょうか。

世の中には、がんについて知られていること、語られることはいっぱいあります。「こんな考え方もあるのか」と気楽にお付き合いいただければ有難いことです。もしこの文があなたのお役に立つことができれば、たいへん嬉しいことです。そうなれば、私のがんが他のどなたかに癒しをもたらすという大きな意味を持つことになり、こんなすばらしいことはないからです。

つながりを持とう

つながりを持とう

つながり

このコーナーでは、例えば患者会、Webサイト、あるいは施設の紹介などの情報提供をしてゆこうと考えています。人間は人と人のつながりで生きていることは言うまでもありません。しかし、がんという病気で悩んでいる時、実は孤独になっていませんか? 決してひとりで生きているのではないことを思い出して下さい。あなたと同じような境遇で悩んでいる人は実はいっぱいいるのです。つながりを持つことによって、周りの人から癒され、また知らないうちに自分も周りを助けることが出来ます。そういう、「つながりの場」のエネルギーは時に大きな力を生みだすことを、多くの人が教えてくれています。

がんは生き方を問う  ごあいさつ

がんは生き方を問う  ごあいさつ

もしあなたが、あるいはあなたの愛する人ががんになったとしたら・・・

もし手術で治療したはずのがんが再発しているとわかったら・・・

もしもう治療の方法はない、残された命はあとわずかだと告げられたら・・・

あなたはどう生きますか?

私は、1980年に大学を卒業後、耳鼻咽喉科の医師として40年以上過ごしてきました。その間、多くのがん患者さんと出会い、手術をし、放射線治療や化学療法を行い、そして多くの方の最後を看取ってきました。「耳鼻咽喉科にがんなんかあるのか?」と思われるかたもおられるかもしれませんが、頭頸部がんといわれるものがそうで、喉頭、咽頭、舌、上顎、甲状腺などにできるがんが代表的なものです。私が勤務していた地域の基幹病院や、大学の耳鼻咽喉科の病棟の入院患者さんの半数以上はがん患者さんです。最近は単に耳鼻咽喉科だけではなく、頸から上の部分の外科と言う意味で「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」という表現をする病院も増えてきています。

この頭頸部がんは、言葉をしゃべったり、食べ物を噛んだり飲み込んだりという、日常生活でとても大事な働きにかかわる場所にできます。ですから手術をはじめとするいろいろな治療を行うにしても、病気の根治性と生活のための機能の維持の両面を考えて治療方針を立てなければならず、判断が難しいことがよくあります。再発して末期になった場合などは、しゃべる事や口からものを食べる事ができなくなり、また目に見える場所にできることも多いため、本人はもちろん、お世話する人も非常につらい状態になることがしばしばです。そんな悲惨な状態の中でもなお生き続けている患者さんたちをみるとき、生きていること、生かされていることの意味を考えさせられます。

その頭頸部がんの一つである「咽頭がん」を私自身が44歳の時に発症しました。まさに自分が治療を行ってきた、自分の専門領域のがんに自らがなってしまったわけです。恥をさらすようですが、見つかったときにはかなり進行した状態でした。幸い私のわがままを許してくれた多くの有能な医師たちと家族の協力により、今もこうして生きています。後から色々考えると、この貴重な体験から学んだことは非常に多かったように思います。また、30年近く前から私がかかわってきたNPO法人日本ホリスティック医学協会が主催する多くの先生方の講演や、いろんな書物を通して学んできた、さまざまな医療観や人生観、代替医療の知識もとても役に立ちました。

そこで、私が自分自身の体験と、多くの書物から学んだことを、少しでも皆さんのお役に立てるようにと書かせていただくのがこのページです。少しずつ緩やかにアップしてゆきたいと思います。ただ、ここに書いてゆく内容については、あくまで私の個人的な意見です。様々なお考えの方がおられると思いますが許容頂きたくお願い申し上げます。

愛場庸雅

がんが自然に治る生き方

がんが自然に治る生き方

がんが自然に治る生き方

ケリー・ターナー 著 長田美穂 訳 プレジデント社 2014年11月 

著者は医師でも患者でもなく、がん専門病院のカウンセラーです。カリフォルニア大学に提出した博士論文が本になったもので、原題は、Radical Remission (劇的な寛解)です。

通常の医学的常識では手遅れ、治癒不能と考えられていた進行~末期がんの状態でありながら、そこから劇的に回復した人たちに関する症例報告の論文とそういう人たちへのインタビューから、そこに共通する因子を探り、最も多かった9つの項目が解説されています。書かれていることは、全て自分でできることですし、特別に高額な費用もかかりません。そしてそのうちの多くは心の持ち方に関連しているのも注目すべきことです。どんなに末期と言われようと回復の可能性があることは、私たちに希望と勇気を与えてくれます。

その9つの項目とは、

  1. 抜本的に食事を変える。
  2. 治療法は自分で決める
  3. 直感に従う
  4. ハーブとサプリメントの力を借りる
  5. 抑圧された感情を解き放つ
  6. より前向きに生きる
  7. 周囲の人の支えを受け入れる
  8. 自分の魂と深くつながる
  9. 「どうしても生きたい理由」を持つ

です。

「生き方」と「つながり」 愛場庸雅

「生き方」と「つながり」 愛場庸雅

こんにちわ。このページの発起人兼編集者の愛場庸雅(あいばつねまさ)です。現在、当協会の関西支部長を拝命しております。

私が、ホリスティック医学と出会ってかれこれ30年が経ちました。その間、さまざまな人、本、情報に巡り合い、勉強させて頂くことで、私なりのホリスティック医学観を築いてきました。今はそれを少しでも多くの皆さんにお伝えすべく活動をしております。

私の体にがんが見つかったのは20年以上前のことになります。それなりの進行がんでした。そして、がんを体験することにより、がんのホリスティック医療に対する考え方も随分変わったように思います。

一方で、総合病院でのがんの専門医としての現代医療に基づく仕事、つまり手術、抗がん剤治療、そして終末期医療も40年以上続けてきました。昨年定年を迎え、最前線からは退きましたが、肉体的にも精神的にもハードな仕事を、悩みながら、それでも色々と折り合いをつけながら、周囲の人々に支えられながらやってくることができました。つまり、患者と医者の二足のわらじを履いてがんのホリスティック医療を追い求めてきたことになります。

そんなこともあって、がんについても色々考え、がん患者さんのために役立つ情報を発信したいと思い、以前から「がんを生きる12か条」を提唱したりしてきましたが、今回関西支部ホームページ内にがんの専用サイトを立ち上げることが叶いました。

私からの詳しいメッセージは、このサイトの「がんは生き方を問う」のコーナーでおいおい発信してゆきますので、ご期待ください。

がんのホリスティック医療にかかわるキーワードは、「生き方」と「つながり」だと思っています。このページをゆるやかな流れの中で続けていければいいなと思いますので、皆様からのさまざまな情報やご意見などもお聞かせいただければ幸いです。どうぞよろしくお付き合いください。